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はじめに
従業員が多くを過ごす職場について、疲労やストレスを感じることの少ない快適な職場環境を形成していくことは極めて重要です。職場の快適性が高いと、労働災害の防止、健康障害の防止が期待できるだけではなく、職場の活性化に対しても良い影響を及ぼします。
厚生労働省では、「事業者が講ずべき快適な職場環境の形成のための措置に関する指針(快適職場指針)」やその「事例集」が公開されています。
本記事では、厚生労働省の「快適職場指針」に基づいた主なポイントをまとめました。
なお詳細については、本記事の出所である、厚生労働省の「事業者が講ずべき快適な職場環境の形成のための措置に関する指針」または「快適職場づくり事例集」をご参照ください。
快適な職場環境の形成に向けた主な措置
(1)作業環境
【ポイント】
不快と感じることがないよう、空気の汚れ、臭気、温度、湿度等の作業環境を適切に維持管理すること
・空気環境
屋内外作業場の臭気、浮遊粉じん、タバコの煙等への措置
・温熱条件
屋内作業場の作業の態様、季節等に応じた温度・湿度の温熱条件の適切化
(「21~25度の室温に維持するのが望ましく、26度以上になると徐々に生産性が落ちる」と言った
研究結果あり)
屋外作業場の夏季及び冬季における外気温等の影響を緩和するための措置
・視環境
作業に適した照度・採光方法・照明方法への措置
視野内に生じる過度な輝度対比や不快なグレアへの措置 等
・音環境
騒音レベルの高い音や音色の不快な音への措置
・作業空間等
部屋の広さ・動き回る空間(通路等)の確保やレイアウト変更 等
(2)作業方法
【ポイント】
心身の負担を軽減するため、相当の筋力を必要とする作業等について、作業方法を改善すること
・不良姿勢作業
腰部、頚部に大きな負担がかかる等の不自然な姿勢に対する機械設備の改善等
・重筋作業
荷物の持ち運び等を常態的に行う作業や機械設備の取扱・操作等の作業で相当の筋力を要する作業に対す
る助力装置の導入等
・高温作業等
高温、多湿や騒音等の場所における作業に対する防熱や遮音壁の設置、操作の遠隔化等
・緊張作業等
高い緊張状態の持続が要求される作業や一定の姿勢の持続が求められる作業に対する緊張を緩和するため
の機器の導入等
・機械操作等
日常用いる機械設備、事務機器や什器等に対する識別しやすい適切な表示
作業動作の特性を考慮した操作方法の改善等
(3)疲労回復支援施設
【ポイント】
疲労やストレスを効果的に癒すことのできる休憩室等を設置・整備すること
・疲労やストレスを効果的に癒す休憩室(リフレッシュルーム等)
・多量の発汗や身体の汚れを洗うシャワー室等の洗身施設
・職場における疲労やストレス等について相談できる施設
・従業員向けの運動施設
・交流・癒しの場としての敷地内に広場・緑地
快適な職場環境の形成のための措置の実施に際する考慮事項
前述の「快適な職場環境の形成のために事業者が必要な措置」を講ずるに当たり、次の事項を十分考慮して行うことが望まれます。
(1)継続的かつ計画的な取組み
・快適職場推進担当者の選任等、体制の整備をすること。
・快適な環境の形成を図るための機械設備等の性能や機能の確保についてのマニュアルを作成する等の措置を
講ずること。
・作業内容の変更、年齢構成の変化、技術の進展等に留意し、職場環境を常時見直し、必要な措置を講ずるこ
と。
(2)従業員の意見の反映
(3)温度、照明等、職場の環境条件について年齢等の個人差への配慮
(4)職場に潤いを持たせ、リラックスさせることへの配慮
まとめ
今回の記事では、以前にご紹介した、活気に満ちた一体感のある職場作りに有効な施策のような”ソフト面”の観点ではなく、”ハード面”に焦点を当てた快適な職場環境づくりのポイントを、厚生労働省の「快適職場指針」に基づいて述べました。
職場は、従業員がその生活時間の多くを過ごす場所ですから、今回述べた”ハード面”からも、従業員にとっての働きやすい環境づくりはとても重要です。
また、「快適職場指針」以外の観点からは、PC、OA機器、携帯電話、車などの仕事に必要な機器類の整備状況や
意識決定の迅速化や情報共有を目的としたITツールの利活用も快適な職場環境づくりに有効な手段です。
今回の記事について、ご不明点やもっと詳しく知りたいという方は、以下よりお気軽にお問い合わせください。
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