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はじめに
企業にとって、活気に満ちた一体感のある職場であることは、コミュニケーションが活発化され、従業員の
モチベーションが向上し、チームワーク力が高まり、その結果、業績向上に繋がるため非常に重要です。
しかし、「活気に満ちた職場」や「一体感のある職場」をつくると言っても、これらを構成する要素が不明確
では、実現に向けた具体的な施策の導出が困難になる可能性があります。
そこで本記事では、「活気に満ちた職場」「一体感のある職場」の構成要素(要因)とその施策例について述
べたいと思います。
「活気に満ちた一体感のある職場」の構成要素(例)
「活気に満ちた一体感のある職場」の主な構成要素としては、以下のような事項が考えられます。
①仕事の改善・改革活動の活発化
②率直な意見の出せる職場
②職場の規律やマナーの遵守
④職場の目標や計画の明示
⑤同僚間協力
⑤職場での知識・ノウハウの共有
なお、上記①②④④は、職場運営上の観点、⑤⑥は、チームワーク上の観点での要素としています。
各構成要素に対する有効施策
前述の各構成要素に対する施策としては、以下のような施策が考えられます。
①仕事の改善・改革活動の活発化
・改善提案制度の導入
・小集団活動の実施
②率直な意見の出せる職場
・意見を聞く仕組みの整備(コミュニケーション)
・従業員間コミュニケーションの活性化
③職場の規律やマナーの遵守
・職場ルールの周知徹底
・マナー研修の実施
④職場目標・計画の明示
・経営理念や経営計画等の周知徹底
・職場目標と全員参加型の計画共有(職場目標と個人レベルまで細分化した計画の共有)
⑤同僚間協力
・従業員間コミュニケーションの活性化
・職場内編成チームでの活動
⑥職場での知識・ノウハウの共有
・成功事例の発表を通じたノウハウ共有
・個人知の組織知化
【上記施策例の概要】
●改善提案制度
従業員から会社の業績向上や業務改善などに向けた提案を広 く募集する制度です。
同制度には主に以下の役割があり、
①直接的役割(作業方法の改善、技術改善・開発、働きやすい環境作り、原価低減・経費節減等)
②教育的役割(考える習慣作り、問題意識の向上、仕事の主体性向上、コスト意識の向上等)
③人間関係的枠割(上司と部下の対話促進、職場の協力関係の向上等)
④経営参画的役割
各々に対し、「利益創出」「能力向上・モチベーション向上」「コミュニケーション活性化」といった効果
が期待されます。
●小集団活動の実施
小集団活動とは、企業内で少数の従業員が集まったグループを結成し、「自主性の向上」「人材育成」「チ
ームワークの醸成」「自分の意見が出せ、反映される場の提供」「職場の活性化」などを目的として実施さ
れます。
<運営上のポイント>
①メンバー編成
各小集団活動のグループ編成をして構成メンバーを決め、その中で推進リーダー、サブリーダー、発表者、
書記等の決定。
②テーマ選定
問題点を掴み、改善テーマの決定。
③現状把握と目標設定
選定テーマの現状を把握し、目標を設定。
③活動計画の作成
データ収集、要因解析、対策実施、対策確認、定着化等の日程と役割分担の決定。
④要因の解析
「なぜ?(Why)」という問いを何度も繰り返して掘り下げ、問題の要因を発見。
⑤対策検討と実施
「その為にはどうすればよいか?(How)」という問いして何度も繰り返し、問題の要因に対する対策案を
導出し、対策案を実行。
⑥効果の確認
予め定めた対策確認期間内で効果確認(測定)。
⑦標準化と定着
効果のあった対策案を標準化。
●意見を聞く仕組みの整備(コミュニケーション)
具体的な対策例としては
・ご意見BOXの設置
・外部相談窓口の設置
・メンター制度の活用
などがあります。
●従業員間コミュニケーションの活性化
<コミュニケーション活性化例>
・レクリエーション
①従業員旅行 ②運動会・スポーツ大会 ③クラブ・サークル活動 など
・グッジョブカードの導入
グッジョブカードとは、伝えることをトレーニングするためのコミュニケーションツールで相手の良い行
動や感謝の気持ちを伝えるカードです。名刺サイズの紙に、「〇〇してくれてありがとう」「手伝ってく
れて助かりました」など感謝の言葉を書いて、直接渡したり、掲示板に貼ったり、箱を設置して一度集め
てから配布したりします。感謝の気持ちを伝えることで、モチベーションアップや信頼関係の構築に期待
ができます。
・ランチ懇親会
異質な背景を持つメンバーや無作為に選出したメンバーで、プライベートの時間を犠牲にすることなく、
翌日の仕事にも影響がないランチを通じて、職場内外や職種を超えた従業員同士のコミュニケーションを
促進するための施策です。
・フリーアドレス
従業員が個々の自席を持たず自由に働く席を選択できるオフィススタイルで、多種多様なメンバーとコミ
ュニケーションをとることで、従業員が他の従業員の経験やスキルを知る良いきっかけとなるとともに、
新しいアイデアの創出促進の場としても期待できます。
●職場ルールの周知徹底
<職場ルールの周知・浸透ポイント>
1.ルールの再点検
・暗黙的なルールを明文化する
・就業規則や社内規程等に記載がないルールを新たに追記する
・不必要なールがないか見直す
・現場の意見も反映させる
2.周知・教育
(1)周知
・ルールの目的が書かれた就業規則や社内規程などを従業員一人ひとりに配布する
・従業員目に付くところに掲示または備え付ける
(2)教育
・階層別の研修の中にルールに関する研修を取り入れる
・上司から部下に対し、会議やミーティングなどで、社内ルールの目的や必要性、ルールを守らなかった
場合のデメリットなどを従業員に浸透して意識が高まるまで、何度も繰り返して説明する
・従業員同士でルール遵守について話し合う機会を設ける
3.違反対策
・ルールの厳守・違反を人事評価項目に組み入れる
・上司による部下へのルール厳守教育を、上司の人事評価項目に組み入れる
・監視役を設置しルールを守っているか定期的にチェックする
4.定期的なルールの見直し
・ルールに不備がないか、形骸化されたルールがないかなど、定期的に見直しを図る
●マナー研修の実施
<研修例>
・話し方の研修:結論、5W3Hを意識した話し方
・敬語の使い方:話す相手・場所にふさわしい敬語の使い方
・挨拶仕方:気持ちの良い挨拶の仕方
・電話応対:声のトーンや言葉づかい、会社の代表であるという意識
・身だしなみ:相手から見て好感の持てる身だしなみ など
●経営理念や経営計画等の周知徹底
従業員の人生・生活に大きく関係する会社の経営をより身近に感じてもらい、モチベーションを高めて仕事
のパフォーマンスを向上し、また、安心感を抱いてもらうためには、経営ビジョンや経営計画さらには、実
現プロセスを従業員と共有します。
●職場目標と全員参加型の計画共有(職場目標と個人レベルまで細分化した計画の共有)
会社全体の経営計画から各職場の活動レベルに展開された目標や行動計画は、職場での日々の活動成果が会社
全体の目標達成を左右するため、行動計画は課、係、更には職場メンバーの仕事レベルまで落とし込むことが
理想です。
また、目標管理制度等にて策定した個人目標と連動させて、全員参加の意識を高めることも有効な手段です。
その場合には、人事評価と連動させることに留意します。
●職場内編成チームでの活動
以下は、職場内でのチーム編成上の主なポイントです。
<チーム活用の判断基準>
・当該業務が複数人で担当した方がよいかどうか
・当該業務は単に個別の目標を足し合わせただけの目標ではなく、それ以上の価値があるメンバー共通の
目的や複数の目標を掲げるに足りる業務であるかどうか
・全体の成果が個別の成果に左右され、また各々の担当作業の成果が他者の成果に左右されるような、メ
ンバーの成果が相互依存関係にあるかどうか
<効果的なチームにするためのポイント>
1.メンバーの能力が相互補完的になるような人選
業務遂行上の「専門能力」「問題解決能力」「対人能力」がメンバー間で相互補完的になっていることが
望まれます。
①専門能力:
専門的な知識・技能を備えた人材
②問題解決能力:
問題を特定し、選択肢を考案・評価し、適切な選択を行う事の出来る問題解決・意思決定に長けた人材
③対人能力:
人の話をよく聞く、フィードバックを行う、コンフリクト(葛藤・衝突等)を解決するといった事に優
れた人材
2.目的と具体的目標の明確化
メンバーの共通目的を合意形成し、共通目的を達成するための具体的かつ現実的で測定可能な目標を設定
します。
3.価値観・規範の共有
目的・目標を設定出来ていても、行動に統一感がなければ非効率になってしまう恐れがあるため、重要な
価値観や規範は明文化し共有する事が望まれます。
4.組織からの支援
タイムリーな情報提供、助言、適切な設備の提供など、チームにとって働きやすい環境にするための支援
が必要です。
5.業績の評価
個人的な達成責任と集団的な達成責任の両方を評価し、処遇への反映することを検討します。
●成功事例の発表を通じたノウハウ共有
職場ミーティング等で成果の発表を行い、成功事例を共有することで職場としてのノウハウの共有を図りま
す。発表の際には、以下の点に留意します。
・発表者は「成果を上げるために意識したこと」「仕事の進め方」など、職場のノウハウとして有効な内
容を盛り込む
・質疑応答の時間を設け、当該事例のブラッシュアップを図る
・成功事例への承認・称賛や事例共有してくれた事への感謝の意を示す事で、発表者のモチベーション向
上を図る
なお、成功事例の発表会等は定期的に実施することが望ましく、また、発表された成功事例をデータ化など
し、必要な時に何時でも参照で出来る状態にしておくとともに、有効な施策などは積極的に横展開させてい
きます。
●個人知の組織知化
従業員が業務を行う中で得た知識・ノウハウを組織全体で共有し活かす手法の一つに「ナレッジマネジメン
ト」があります。ここでいうナレッジとは「価値ある情報」を指し、ナレッジには、主に個人の頭の中にあ
って言語化されていない「暗黙知」と、マニュアル等の誰が見ても理解・利用できるように言語化された「
形式知」があります。
ナレッジマネジメントは、暗黙知を形式化・知識の見える化し(表出化)形式知化する、つまり暗黙知を形
式知化する事で、優秀な従業員個人が有する有益な知識やノウハウを組織内の誰もが活用出来るようにする
取組みです。なお、ナレッジマネジメントを機能させるためには、
・知識共有に価値を置き、貢献した人材に対して評価するといった情報共有を促進する仕組み構築
・従業員が容易に情報を入手出来るようなコンピュータネットワークやデータベースなどの情報インフラの整備・構築
・会社や組織にとって「価値ある情報」どうかの判断基準の明確化 など
にも留意します。
まとめ
「活気に満ちた職場」「一体感のある職場」を目指すために、これらを構成する要素(要因)に分解して、各々の要素に対する施策例をご紹介しました。
「活気に満ちた職場」「一体感のある職場」づくりに向け、どこに課題があるかを特定するには、ES調査を実施してみることが最適です。
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