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仕事満足度とは
仕事満足度とは、従業員満足度の分類項目の1つです。
当社ES調査サービスでは、満足度分類中の「仕事内容満足度」と「自己成長満足度」に相当します。
<当社ES調査サービスでの満足度分類>
本記事では、「仕事満足の構成要素」と「仕事満足度を高めるための有効な施策は何か」について述べていきます。
仕事満足の構成要素(例)
<仕事満足の構成要素例>
上図は、仕事満足を「仕事内容満足」と「自己成長満足」に分け、各々をさらに細分化した構成要素例です。
また、「仕事のやりがい」をさらに細分化しています。
あくまでも例示ですが、このように細分化しておくと、満足要因や不満要因がより具体的に明らかになり、対策も打ちやすくなります。
仕事満足度の各構成要素の満足度向上施策
前述の各構成要素に対する施策としては、以下のような施策が考えられます。
<仕事満足度の各構成要素の満足度向上施策例>
【上図表中の施策例の概要】
●計画的OJT
単に部下を現場に放りこんで、成り行きで仕事の要領やコツを身に付けさせるのではなく、管理者や先輩が部下や後輩に対し、実際の仕事を担当させながら、「組織メンバーとして成長するための布石」「仕事に必要な知識や技能や取り組み姿勢」「仕事をすることの価値や達成感」などを効果的にかつ有効に身につけさせるための育成・指導の活動です。
●Off-JT
日常の仕事から離れ集合教育等のスタイルで教育していく方法です。OJTだけでは身に付けられない知識を重点的に習得させることを目的とし、必要な知識を体系的に学ぶことが出来ます。
また、教育研修という形で行われることが多いため、指導者の能力、技能、教え方等の教える側のバラツキが排除され、OJTと比して育成対象者の成長度合いのバラツキが少なくなります。
●自己申告制度
過去の仕事の内容や仕事の適性度合、将来の希望などを従業員自身に申告してもらい、それを考慮して適正な配置とキャリア開発を行う事により、従業員個人の事情・希望と会社の人事政策との調和を図る事を目的とした制度です。
●職業適性テスト
人間性や基本的な考え方、思考力、論理性、数値能力などを測定するテストです。
従業員の能力適性を生かせる職種を、あらためて幅広く検討したり、従業員個人が自己の能力特徴を理解したりするのに活用できます。
また、テスト結果を基に、従業員の配置の見直しを行ったり、テストの結果が悪かった部分に対して研修を行うなど、従業員教育の資料としても活用したりすることが出来ます。
●ジョブローテーション
ジョブローテーションとは、従業員の意向と人材を最大限に活かす会社の意向を踏まえた人材育成計画に基づいて、定期的に職場の異動や職務の変更を行う制度です。
<ジョブローテーションの主な目的>
①従業員の能力開発
②幹部候補生の養成
③他部署とのネットワーク構築
④適切な人材配置の判断
⑤仕事のマンネリ化の回避
●作業内容・手順の改善
改善とは、ムダ(不要)を省き、会社・職場が必要とする価値の割合を増やし、 経営の3要素である「人・品質・生産性」の向上を図る事です。
改善活動にあたっては、基本的には5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)活動、特に4S(整理・整頓・清掃・清潔)が実施されている事が前提となります。
<改善案導出手順例>
①ターゲットの選定(改善の目的・目標を明確にし、改善対象を選定)
②現状把握
③目的追求
④着想抽出・改善策導出
●職務分掌規程の整備・見直し
職務分掌とは、組織においてそれぞれの職務が果たすべき責任(職責)や職責を果たす上で必要な権限(職権)を明確にするために、職務ごとの役割を整理・配分することです。
職務分掌がないまたは不明確な場合、特定の担当者のみに責任が集中してしまったり、権限があいまいで誰が責任者か分からなかったりといった事態が生じる可能性があるため、個別の部門・部署や役職、あるいは特定の担当者について、各々の仕事の内容や権限・責任の範囲などを定義または再定義します。
●意見を聞く仕組みの整備(コミュニケーション)
具体的な対策例としては
・ご意見BOXの設置
・外部相談窓口の設置
・メンター制度の活用
などがあります。
●ラインケア
ラインケアとは、職場のメンタルヘルス対策において、事業管理者が、部下の心の健康をケアしたり、職場環境を改善していく取り組みです。
●改善提案制度
従業員から会社の業績向上や業務改善などに向けた提案を広 く募集する制度です。
同制度には主に以下の役割があり、
①直接的役割(作業方法の改善、技術改善・開発、働きやすい環境作り、原価低減・経費節減等)
②教育的役割(考える習慣作り、問題意識の向上、仕事の主体性向上、コスト意識の向上等)
③人間関係的枠割(上司と部下の対話促進、職場の協力関係の向上等)
④経営参画的役割
各々に対し、「利益創出」「能力向上・モチベーション向上」「コミュニケーション活性化」といった効果が期待されます。
●職務拡大
担当業務の種類を増やしたりする事です。仕事のバリエーションを増やす事で、仕事に対しての飽きが少なくなったり、職務拡大する前の仕事の重要性を実感したり、いろいろな仕事を覚えているとの実感からモチベーション向上に繋げます。
●職務充実
専門的・管理的な仕事を加えたり、判断が必要な要素を加えたり、より自律的に仕事が進められるように権限を委譲したりする事で、担当する仕事の内容を高度化していくことです。
職務充実によって、自律的に仕事を進めることが出来るようになり、従業員のモチベーション向上に繋がるとともに、従業員自身が周囲からの期待や役割を理解し、それに対して能動的に自分の意識や行動を調整できる力を身に付ける第一歩となり得ます。
●職務の重要性の伝達(コミュニケーション)
仕事は何か1つ欠けるだけで大問題になります。しかし、その中には誰にでもできる単純作業もあります。そこで「こんな仕事は誰でもできる」と認識してしまうとモチベーションが下がってしまいます。
そうさせないために、自身の仕事が、組織の他の人々の仕事やエンドユーザーに影響を及ぼす重要な仕事である事を認識させる事でモチベーションが高めます。
<自己重要感を高めるためのポイント>
・相手の話を聞く
・相手を肯定する
・肯定・共感した上で、その仕事の他の仕事のへの影響を伝え、自身の仕事の重要性を認識させる
●称賛・感謝の意の伝達(コミュニケーション)
従業員が良い結果が出した時などに、称賛の言葉や感謝の気持ちを伝えることで、自分が他者に貢献していることを実感でき、「次も頑張ろう」「もっと頑張ろう」という気持ちなり、 モチベーションの向上や信頼関係の構築が期待ができます。感謝の意の伝達ツールとして、グッドジョブカード(サンクスカード)を導入する事も有効です。
●職務実行結果の可視化
他者からの評価だけでなく、自分が行った仕事に対しての成果や結果を自身が確認できるようにすること指します。
典型的な例では、営業職は「売れたか」「売れていないか」「どれだけ売れたか」と言った他人からの評価を得ずしても、自身の成果を容易に認知する事ができ、その事で有能感を覚えモチベーション向上に繋がります。
このように、仕事に求められる活動の実行度合いや結果を、他人からの評価を得ずしても認知できるようにします。
但し、前述の営業職のように自ら成果を認知する事が困難な経理や総務、事務職などの業務・職種の場合は、他者からの評価(賞賛や感謝など)が重要になります。
●目標管理制度
目標管理制度とは、上司が部下に目標を押し付けるのではなく、上司との相談の下で従業員自身が目標を定め、自主性や自己統制に基づいて目標達成に向けた活動をし、その達成度合いを評価するマネジメント手法です。
目標管理制度は従業員の業務への自発的な参加と経営への参加意識を高める制度であるため、従業員のモチベーションの向上が促進され、また、個人目標を会社や職場の目標と連動させることによって会社の業績向上を目指します。
目標管理の運用は、一般に、期首に会社や職場の目標を連動した個人目標を設定し、四半期毎等の期中に進捗状況の確認ならびに上司からの指導・支援を行い、期末に目標達成度ならびに人事評価を行います。
●社内表彰制度
給与や賞与とは別に従業員の貢献度に報いモチベーションを上げる一定の効果を発揮する仕組みです。ここでいう表彰制度は、「永年勤続」や「定年退職」を表彰するものではなく、従業員のモチベーション向上を目的とした制度を指します。表彰という形で公式に認める事で、自分の能力に自信を持たせます。
●他社との交流推進
他社と交流を奨励し、知識や能力を習得する機会を与えます。 他社交流の主なメリットは、以下のとおりです。
①他社従業員との比較による自身の能力課題への気づき
②他社従業員の意見やアドバイスによる今後自身のやるべきことの発見
③情報交換・意見交換による問題解決の糸口の発見や新たな発想・思考への気づき
●キャリアプラン
キャリアプランとは、従業員が理想とする将来の自分を実現するためにどのような仕事や働き方が相応しいかを考え、長期的な目標と目標達成のためのステップ(キャリアパス)を設定し、より意欲的に働いてもらうための計画です。
一般的には、事前に従業員に自身が考えるキャリアプランを作成してもらい、後日、経営者や人事部門または上司との面談を実施します。
<キャリアプランの明示事項>(末尾のカッコ内は明示主体)
①〇年後の会社の経営ビジョン・計画(会社)
②現在の自分(従業員)
③自分が考えるキャリアプラン(従業員)
④合意したキャリアプラン(会社)
まとめ
・従業員の仕事満足度を向上させるためには、仕事満足度を「仕事内容満足度」と「自己成長満足度」などに分類し、各々に対してもさらに細分化することが重要です。
・細分化することで、従業員の満足要素や不満要素がよりピンポイントに特定できます。
・不満要素などが明確なため、的を得た施策を検討・実行することが可能になります。
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