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はじめに

企業の業績向上には、従業員のモチベーションの向上は不可欠です。
従業員の「モチベーションを向上したい」「仕事にやりがいを感じてほしい」と思うのは当然なことですが、「モチベーション」「やりがい」という表現では、漠然としており、一体何に対してどうすればよいのかピンとこないことがあります。
今回は、従業員にモチベーションを与える要因の一つである「仕事そのもの」について焦点を当て、仕事そのもの(仕事内容)におけるモチベーション要因を分解した「職務特性モデル」について述べます。

その前に、代表的なモチベーション理論について

代表的なモチベーション理論としては、産業心理学者のハーズバーグの「二要因理論」が有名です。
「二要因理論」では、満足度を引き上げる「動機づけ要因」と、満たされないと不満を抱いてしまう「衛生要因」で満足と不満足の感情要因を説明できるとされています。

「動機づけ要因」には、仕事そのもの、仕事を通じた達成感・成長感、承認、責任などがあります。
これらは、満たされた時には満足感をもたらしますが、不満感を抱くことはないとされています。

一方、「衛生要因」には、作業条件、福利厚生、職場環境、上司や同僚などの対人関係などがあります。
これらは、満たされないときには不満感をもたらしますが、それが満たされたからと言って、満足感を抱くことはないとされています。

今回述べる「職務特性モデル」は、モチベーションを与える要因の一つである「仕事そのもの(仕事内容)」について焦点を当てたものです。

仕事内容のモチベーション要因を具体化した職務特性モデル

職務特性モデルとは、ハックマンとオルダムによって提唱された理論で、ハーズバーグの「二要因理論」の「動機づけ要因」のうち、仕事そのもの、仕事を通じた達成感・成長感などの仕事内容についてのモチベーション要因をさらに以下の5つに細分化し、

  ●技能多様性
  ●タスク完結性
  ●タスク重要性
  ●自律性
  ●フィードバック

と言った、仕事そのものでモチベーションを向上させる各要素について説明しています。
また、同モデルではこれらの要素を「中核的職務特性」と呼んでいます。

<技能多様性>
仕事を進める上で、必要とされる技能の幅が広いほど、仕事で感じる有意義性が強まる。

<タスク完結性>
現在の仕事が初めから終わりまで一貫性があり、まとまった仕事であるほど、仕事で感じる有意義性が強まる。

<タスク重要性>
現在の仕事が、他人の生活や仕事への影響が大きいほど、仕事で感じる有意義性が強まる。

<自律性>
仕事のスケジュール立てから実施の仕事の手順決定において、自由度、独立性、裁量の度合いが高いほど、仕事の結果に対する責任感が強まる。

<フィードバック>
自分の仕事の進捗を他者から言われるのではなく、自身で確認出来る程度が大きいほど、自らが仕事に費やした努力が成果に繋がっている事を確認出来る。

またこのモデルでは、上記5つの要素の効果を以下のような図で表現しています。

<職務特性モデル図>

職務特性モデル

出所:「スティーブン・P・ロビンス著 組織行動のマネジメント」より筆者作成

この図は、5つの中核的職務特性が臨界心理状態に達したとき、従業員のモチベーションが高まり、高い業績や満足感をもたらすとともに、欠勤や離職率の可能性が低くなるを示しています。

ES調査でも「仕事のやりがい」質問を細分化を

ES調査の目的は、働きがいのある働きやすい職場づくりをして、会社の業績を向上させることです。

調査に際し、「仕事のやりがいを感じていますか。」といった漠然とした質問項目だけでは、仕事そのものに関するモチベーションの低下要因を特定し、有効な施策を立案することが困難になる可能性があります。

そこで、ES調査時において、上記の
  ●技能多様性
  ●タスク完結性
  ●タスク重要性
  ●自律性
  ●フィードバック
に細分化して調査を実施することが有効です。

例えば、
「技能多様性」ならば、
  あなたの仕事はあなたの多様な能力が発揮できる仕事ですか。
「自律性」ならば、
  あなたの仕事は自分なりに工夫してできる程度が高いですか。
「フィードバック(→有能感)」ならば、
  あなたの仕事ぶりや能力は会社や職場の目標達成に役立っていると思いますか。

と質問すれば、

 ●「技能多様性」の満足度が低い場合には、「職務拡大」
 ●「自律性」の満足度が低い場合には、「職務充実」
 ●「フィードバック」の満足度が低い場合には、「職務実行結果の可視化」「目標管理」

などと言った、より具体的で有効な施策案が導出しやすくなります

まとめ

●モチベーションを与える要因の一つである「仕事そのもの(仕事内容)」について焦点を当てた
 「職務特性モデル」とは、仕事内容を、「技能多様性」「タスク完結性」「タスク重要性」「自律
 性」「フィードバック」の5つに細分化して、これらが満たされることで、仕事に対するモチベー
 ションが向上するという理論です。

●ES調査を実施する際には、「仕事のやりがいを感じていますか。」のような漠然とした質問ではなく、
 「職務特性モデル」の5つの切り口で質問項目細分化して、有効な施策案を導出しやすくすることが
 重要です。

当社のES調査サービスでも、今回の内容を踏まえた調査項目で実施していますので、
以下よりお気軽にお問い合わせください。

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