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ポジショニングとは?
ポジショニングとは、ターゲット市場において、自社の製品・サービスが、どうすれば競合よりも魅力的にみえるか、競合との差別化を図れるかを示し、
ターゲット市場での自社の立ち位置を明確することです。
ポジショニングは、一般的なマーケティング策定プロセス(F.コトラー)である、STP+4Pの策定の中で行われます。
STP+4Pの概要は以下のとおりです。
STPとは、
S:ニーズの同質性を基本軸にグループ化する事で、市場を細分化し(Segmentation:セグメンテーション)
T:細分化された市場の「どこ」をターゲットとするかを決め(Targeting:ターゲティング)
P:ターゲット市場での自社の立ち位置を明確する(Positioing:ポジショニング)
の各々の頭文字をとったもので、これらは、マーケティングの基本戦略(基本方針)です。
STは、大企業と比して経営資源が少ない中小企業にとって、収益性・成長性・実現性の高い市場に資源を集中させるために重要です。
また、Pの”立ち位置”とは、「選ばれる理由」「強み」を指します。
4Pとは、
・製品(Product)
・価格(Price)
・売り場所(Place)
・売り方(Promotion)
の各々の頭文字をとったもので、選択した市場での”立ち位置”を確立させるための戦術、つまり、STPを実現させるための手段です。
このように、ポジショニングは、セグメンテーション(S)とターゲティング(T)の分析ができていることが前提となります。
ポジショニング方法
以下では、実際のポジショニング方法を解説します。
①競争軸のリストアップ
先ず初めに、ターゲット市場(ターゲット顧客)にとって有効な競争軸をリストアップします。
競争軸とは、顧客が認める強み、選ばれる理由、購買決定要因(KBF:Key Buy Factor)などと表現されるものです。
競争軸のリストアップ時には、その競争軸がもたらす顧客便益(顧客メリット)の大きさを考慮してリストアップします。
<代表的な競争軸の例>
②ポジショニング
リストアップした競争軸を使用して、ターゲット市場での立ち位置を分析します。
分析時には、「ポジショニングマップ」または「戦略キャンバス(価値曲線)」を使用します。
【1】ポジショニングマップ
リストアップした競争軸の中から2軸を選択し、下図の軸の交点(中心)にターゲット顧客がいると据え、自社および競合の製品・サービスのポジションをプロットします。
<ポジショニングマップイメージ>
効果的なポジショニングマップを作成するポイントは以下のとおりです。
<ポイント>
①独立性の高い2軸を設定する
ポジショニングマップで軸を決める際は、2軸の要素を独立させかつ、重要度の高いものにすることが重要です。
例えば、2つの軸を品質と価格とした場合、品質と価格は比例するため有効なポジショニングマップになりません。
また、品質が低いものなど顧客が選択するはずがないため、この軸の組み合わせは意味がありません。
②競合がとりづらく、空いているポジションを狙う
ポジショニングマップを作成するときは、隙間の空いているところに自社の製品・サービスを位置づけますが、
その際、意識的に競合がとりにくいポジションを選ぶ必要があります。
それにより、自社の競争優位性を確立しやすくなります。
③将来に渡り、優位性を構築できるポジションをとる
出来る限り長期間に渡って、優位性を構築できるようなポジションをとります。
そのために、環境や考え方の変化に左右されず、将来にわたって優位性を保てる2軸を組み合わせることが重要
です。ただし、時代が進むにつれて、製品・サービスに求められる要素が大きく変化する可能性がある場合には、
その時々に応じたポジションを再構築することも大切です。
④軸の組み合わせを変えて何度も繰り返す
ターゲット顧客にとって便益をもたらず2軸の組み合わせを変え、ポジショニングマップの作成を繰り返し、
納得感のある唯一のポジションを発見します。
【2】戦略キャンバス(価値曲線)
下図のように、横軸にリストアップした競争軸(強み、選ばれる理由)、縦軸に競争軸の水準(強度)をとり、自社及び競合各社の競争軸の水準を折れ線グラフで表します。(描かれたグラフを「価値曲線」と言います。)
<戦略キャンパス(価値曲線)イメージ>
自社の価値曲線を描く際のポイントは以下のとおりです。
<ポイント>
①高い独自性あるか
競合の価値曲線と比較した際、グラフ上に「突き抜けた」競争軸があるか、つまり高い独自性があるか評価します。
ここでいう「突き抜けた」とは、特定の競争軸を、業界標準(競合標準)と比べて大胆に増やす」ことや
「業界でこれまで提供されていない、競合が打ち出していない競争軸を付け加える」ことを指します。
②競争軸が総花的になっていないか(メリハリ)
あらゆる側面で強み(競争軸)を打ち出そうとすると、経営資源の分散を招き、全てが中途半端になってしまい、
結果的にコストがかさんでしまいます。
そのため、「捨てる(取り除く・減らす)」ことも考慮して、独自性の高い価値曲線を描きます。
③顧客メリット(効用)の程度を踏まえた競争軸の強度を設定
ある競争軸で市場でのポジションを確立しようとした際に、その競争軸が、顧客にとってメリットが小さければ、
購買してくれません。そのため、競争軸の強度を設定する際には、顧客メリット(効用)の程度を考慮した上で、
強度設定(スコアリング)します。
まとめ
●ポジショニングとは、ターゲット市場において、自社の製品・サービスが、どうすれば競合よりも魅力的にみえるか、どうすれば競合と差別化を図れるかを示すこと。
●ポジショニングは、マーケティング策定プロセス(F.コトラー)である、STP+4Pの策定の中で行われ、セグメンテーション(S)とターゲティング(T)の分析ができていることが前提となる。
●ポジショニング分析は、競争軸(顧客が認める強み、選ばれる理由、購買決定要因(KBF:Key Buy Factor))のリストアップから始め、「ポジショニングマップ」または「戦略キャンバス(価値曲線)」を使用して、自社の市場での立ち位置を明確化していく。
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