この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

はじめに

中小企業のマーケティングの重要性① ~新事業展開~ では、近年の技術革新による製品ライフサイクルの短縮化や情報技術の発展による消費者行動の変化など、市場環境が大きく変化している中、中小企業が継続的に成長していくためには、新事業展開への取組みが重要であり、新事業展開を成功させるためには、マーケティング活動が成功の鍵となること述べました。

今回は、中小企業における

 ・マーケティングが普及しない理由(中小企業におけるマーケティング活動の課題)
 ・マーケティング活動を推進するための「外部リソースの活用」

に焦点を当てたいと思います。

マーケティングが普及しない理由

中小企業において、マーケティングが普及しない理由として、

 ①技術・ノウハウを持った人材不足

 ②顧客からの紹介や人脈で、既存事業で何とかなっている

 ③コスト不足によるITシステムの導入遅れ

 ④「マーケティング」と「営業」と混同している

 ⑤マーケティングにかける予算不足

 ⑥そもそもどうすれば良いのかわからない

などが考えられます。

特に、上記①については、中小企業庁「2017年度中小企業白書」の中で、「新事業展開を実施していない企業」や「新事業展開に成功していない企業」の課題として報告されています。

<新事業展開を実施していない企業の課題>

図表1 新事業展開を実施していない企業の課題

新事業展開を実施していない企業の課題

出所:中小企業庁「2017年度中小企業白書 P345」

<新事業展開に成功していない企業の課題>

図表2 新事業展開に成功していない企業の課題

新事業展開に成功していない企業の課題

出所:中小企業庁「2017年度中小企業白書 P372 P368 P375 P377」

このように、新事業展開を実施していない企業や、新事業展開に成功していない企業において、マーケティング活動に関する技術・ノウハウを持った人材不足が大きな課題であることがわかります。

外部リソースの活用

前述のマーケティング活動における課題においては、「技術やノウハウを持った人材不足」が大きな課題として挙げられていました。自社内で人材確保や人材育成することも重要ですが、大企業と比して経営資源が少ない中小企業においては、外部専門家などの外部リソースを活用していくことも、有効な手段と言えます。

中小企業庁「2017年度中小企業白書」では、外部リソースの活用に関する調査結果が報告されています。

<新事業展開の成否別に見た外部リソースの活用状況>

図表3 新事業展開の成否別に見た外部リソースの活用状況

新事業展開の成否別に見た外部リソースの活用状況

出所:中小企業庁「2017年度中小企業白書 P383」

新事業展開に成功している企業は、成功していない企業と比して、マーケティング活動の4分野において外部リソースを活用している傾向にあることがわかります。
また、PDCAサイクルの視点からは、
 ・「市場ニーズを把握」「自社の強みの把握」は計画段階(P)
 ・「PR活動における課題(情報戦略の実施)」は計画・実行段階(PD)
 ・「マーケティング評価・検証」は評価・改善段階(CA)
に相当し、「マーケティング評価・検証」では、売上、利益、問い合わせ数、案件化数、商談数、受注数などの指標に基づく、定期的な評価や改善を実施します。成功していない企業では、評価・改善段階での外部リソース活用が低い傾向にあります。

<外部リソースの活用状況別に見た課題>

図表4 外部リソースの活用状況別に見た課題

外部リソースの活用状況別に見た課題

出所:中小企業庁「2017年度中小企業白書 P384」

全体的に、外部リソースを活用している企業は、外部リソースを活用していない企業と比して、外部リソース活用に関する課題を感じていないことがわかります。また、外部リソースを活用している企業では、「特に問題は生じなかった」が最も高い割合を占めています。

このことは、外部リソースは、実際に活用してみると、特に問題(課題)を感じることなく、企業にとって、有効な手段になり得ることを示しています。

<新事業展開に成功した企業の外部リソースの活用による効果>

図表5 新事業展開に成功した企業の外部リソースの活用による効果

新事業展開に成功した企業の外部リソースの活用による効果

出所:中小企業庁「2017年度中小企業白書 P385」

新事業展開に成功した企業では、外部リソースを活用することで、「必要な技術・ノウハウや人材の補完(63.0%)」「必要な人材、体制を確保するコストの削減(35.6%)」などの、人材不足の解消やにコスト削減に効果があったことがわかります。

まとめ

2017年度中小企業白書の内容を中心に述べました。まとめると、

 ・中小企業において、マーケティングが普及しない大きな理由は、「技術・ノウハウを持った人材不足」。

 ・中小企業の継続的成長に向けた取組みである「新事業展開」に成功している企業は、外部専門家などの
  外部リソースを活用している。

 ・外部リソースは、実際に活用してみると、特に問題を感じず、人材不足の解消やコスト削減の効果がある。

です。

自社内でマーケティングに関する技術・ノウハウを持った人材の確保や育成も重要ですが、激しい環境変化に迅速に柔軟に対応し、大企業と比して経営資源が少ない中小企業が、自分たちにしか出来ない業務に経営資源を集中させるためにも外部リソースの活用は非常に有効な手段と言えます。

もっと詳しく知りたいという方は、以下よりお気軽にお問い合わせください。

無料相談受付中
050-3154-1038
受付時間 平日10:00 – 19:00