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マーケティングとは

F.コトラー教授の定義によれば、マーケティングとは、

「製品と価値を生み出して他者と交換することによって、個人や団体が必要なものや欲しいものを手に入れる
ために利用する、社会上・経営上のプロセス」

とされています。

一言で言えば、

  製品・サービスが売れていく仕組みを作ること

です。

「どうやって製品を売るか」という企業側の視点ではなく、「どうすれば、売れていくようになるか」とい
った顧客側の視点
が非常に重要となります。

また、コトラーによるマーケティングの基本(コンセプト)は、

①市場全体を狙うのではなく、市場を細かく分け、自社が勝てる最適な市場を選択する
②選択市場での、自社の強みとその強みによる顧客便益を生み出すポジションを見つける
③選択市場に対して、マーケティングミックス(製品・価格・チャネル・プロモーションの最適組合せ)を行う

こととされています。

マーケティング・コンセプト

よく、マーケティングと言えば4P(製品・価格・チャネル・プロモーション)と耳にすることがありますが、
これですと、①②の視点が軽視される、つまり企業側の視点のみに陥るリスクが高くなってしまいます。従って、
顧客視点でのマーケティングを実施するためには、この基本はとても重要です。

STP+4P

一般的なマーケティング策定プロセス(コトラー)は、STP+4Pの策定とされています。

STPとは、

S:ニーズの同質性を基本軸にグループ化する事で、市場を細分化し(Segmentation:セグメンテーション)
T:細分化された市場の「どこ」をターゲットとするかを決め(Targeting:ターゲティング)
P:ターゲット市場での自社の立ち位置を明確する(Positioing:ポジショニング)

の各々の頭文字をとったもので、これらは、マーケティングの基本戦略(基本方針)です。

STは、大企業と比して経営資源が少ない中小企業にとって、収益性・成長性・実現性の高い市場に資源を集中
させるために重要です。
また、Pの”立ち位置”とは、「選ばれる理由」「強み」を指します。

4Pとは、「製品(Product)」「価格(Price)」「チャネル(Place)」「プロモーション(Promotion)」
の各々の頭文字をとったもので、選択した市場での”立ち位置”を確立させるための戦術、つまり、STPを実現
させるための手段
です。

中小企業のマーケティングの重要性

中小企業庁「2017年度中小企業白書」において、「新事業展開の推進」というテーマで、中小企業のマーケテ
ィングの重要性について記載されています。

新事業展開の重要性

近年の技術革新による製品ライフサイクルの短縮化や情報技術の発展による消費者行動の変化など、市場環境
が大きく変化していることから、中小企業が継続的に成長していくためには、図表1中の①市場浸透戦略(既存
市場での既存製品・サービス展開)でなく、②新市場開拓戦略、③新製品開発戦略、④多角化戦略、⑤事業転換戦
の4つの取組が重要とされています。

図表1 中小企業白書中の「企業の事業展開の戦略」類型

中小企業白書中の事業戦略類型

出所:中小企業庁「2017年度中小企業白書 P343」

<新事業展開の取組別に見た経常利益率の傾向>

図表2 新事業展開の取組別に見た経常利益率の傾向

新事業展開の取組別経常利益率

出所:中小企業庁「2017年度中小企業白書 P343」

図表2は、新事業展開の戦略と経常利益率との関係を示したものです。同図表から、いずれの取組においても、新事業展開を実施している企業は、実施していない企業と比べて、経常利益率が増加傾向にあることがわかります。

中小企業における新事業展開の成功要因

中小企業白書では、新事業展開の成功要因として

①市場ニーズの把握 (セグメンテーション・ターゲティングに相当)
②自社の強みの把握 (ポジショニングに相当)
③自社の製品・サービスのPR活動 (4Pのプロモーションに相当)
④マーケティング活動の評価・検証

の4つのマーケティング活動に焦点をあてた報告がされています。

<マーケティング活動有無別に見た経常利益率の傾向>

図表3 マーケティング活動有無別の経常利益率の傾向

マーケティング活動有無別の経常利益率の傾向

出所:中小企業庁「2017年度中小企業白書 P364」

図表3から、4つ全てのマーケティング活動を実施している企業は、経常利益率が増加しており、一方で、いずれも実施していない企業においては、経常利益率の増加はおろか、経常利益率が減少していることがわかります。

<マーケティング実施状況と新事業の効果との関係>

図表4 マーケティング実施状況と新事業の効果との関係

マーケティング実施状況と新事業の効果との関係

出所:中小企業庁「2017年度中小企業白書 P378」

図表4から、4つ全てのマーケティング活動を実施している企業の方が、「新規顧客の獲得」のみならず、「企業の知名度向上」「従業員の意欲向上」「人材育成」面でも効果を感じていることがわかります。

まとめ

●中小企業が継続的に成長していくためには、既存市場での既存製品・サービス展開に留まらず、
「新市場開拓」「新製品開発」「多角化」「事業転換」などの新事業展開への取組が重要です。

●新事業展開を成功させるためには、

①市場ニーズの把握
②自社の強みの把握
③自社の製品・サービスのPR活動
④マーケティング活動の評価・検証

の4つのマーケティング活動、つまり、

「STPと4Pの実施」ならびに「マーケティング活動の評価・検証活動(PDCAサイクルのCA)」

がとても重要です。

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