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はじめに

昨今の労働力人口の減少に伴う人手不足や市場が成熟化されていく中で、企業には、人材の定着、優秀な人材の確保、業績の向上が求められています。そんな中、「従業員エンゲージメント」というキーワードが注目を集めています。

本記事では、「従業員エンゲージメント」とは何か、似たキーワードとして「従業員満足度」との違いは何か、「従業員エンゲージメント」の測定方法について述べたいと思います。

従業員エンゲージメントとは

エンゲージメント(engagement)という単語は、辞書的には「約束」「契約」「協約」などと訳されます。

ビジネスにおいては、従業員の会社に対する「愛着心」「誇り」「つながり」と解釈され、従業員エンゲージメントとは、従業員と会社との強い信頼関係を意味します。

強い信頼関係とは、「従業員による企業の目標を理解し、自発的に組織に貢献する意欲」と「会社による従業員の欲求充足」が同時に実施されている、言わば、双方の発展成長に貢献し合う状態です。

従業員エンゲージメントと従業員満足度との違い

対して「従業員満足度」とは、仕事内容、職場風土、人間関係、福利厚生、給与などについて、どの程度満足しているかを示します。

その名の通り『あくまでも「満足度」であり、会社への愛着心、誇り、貢献度を示すものではない』と言った点が大きく異なります。

従業員エンゲージメント向上はなぜ必要か

現代において、従業員エンゲージメントの向上がなぜ必要なのかを、「働き方改革」の観点から説明します。

現在我が国では、働き方改革が推進されていますが、その背景には、労働力不足や少子高齢化があります。
労働力を確保するためには、女性、高齢者、国籍の異なる人材や、仕事以外のプライベートな時間を重視する傾向がある、1980年代から2000年代初頭までに生まれの、いわゆる「ミレニアル世代」など、多様な人材を受け入れる環境を作る必要性、つまり、働き方の多様性への対応が必要となっていきます。

今後、価値観、置かれた環境が様々な人材を受け入れ、働き方改革の主たる目的である、生産性を向上していくためには、従業員の自律性が必要となっていきます。

従業員の自律性とは、従業員の自立性が尊重され、仕事の進め方や習得するスキルを自らが選択でき、やりがいを感じる状態です。

会社としては従業員の自律性を高め、会社への貢献意欲を向上させることが必要となるため、従業員エンゲージメント向上が必要になったと考えられ、多様性への対応そのものが、従業員エンゲージメント向上手段と言えます。

従業員エンゲージメントの測定方法

従業員エンゲージメントの測定指標:eNPS

eNPS(イーエヌピーエス)とは Employee Net Promoter Score の頭文字を取った略称で、従業員エンゲージメントを可視化する指標として使用されます。

質問方法としては、
  「あなたは、今の職場で働くことをどの程度親しい友人や知人、家族に奨めたいと思いますか?」
と言ったような「推奨度」を問う内容となります。

このような質問を通じて、従業員のエンゲージメント(職場に対する愛着・信頼の度合い)を測定するものです。

eNPSの測定方法と算出方法

eNPS測定方法

上図のように、「あなたは、今の職場で働くことをどの程度親しい友人や知人、家族に奨めたいと思いますか?」といった推奨度を測定する質問内容にし、0 ~ 10 の11段階に分けて回答してもらいます。
11段階の回答は、0~6を「批判者」、7~8を「中立者」、9~10を「推奨者」に分類されます。

eNPS算出方法

調査結果を「批判者」「中立者」「推奨者」の3つに分類し、各々の割合を算出し、そこからeNPS値という推奨度を測定します。eNPS値が高さが、会社に対する貢献意欲の大きさを表します。

例えば、
批判者(0~6点)が30%、中立者(7~8点)が50%、推奨者(9~10点)が20%の場合、eNPS値は-10%となります。

なお、スコアの良否については、株式会社アイ・エム・ジェイ様による10業界別 eNPSRベンチマーク調査 Special Editionに記載された業界平均との比較が可能です。

当社の調査サービスでは、経営層に同一項目にて質問した結果を一つの基準値として、認識ギャップを測定しています。

「批判」や「推奨」の要因特定

「批判」や「推奨」の評価結果には、理由があります。分析の詳細は割愛しますが、以下のような切り口で調査して、eNPSとの相関性を分析して、その要因を特定します。

調査項目一覧

要因特定後は、各種対策を講じてエンゲージメントの向上を図っていきます。

まとめ

●従業員エンゲージメントとは、従業員と会社との強い信頼関係を意味し、強い信頼関係とは、「従業員による企業の目標を理解し、自発的に組織に貢献する意欲」と「会社による従業員の欲求充足」が同時に実施されている、言わば、双方の発展成長に貢献し合う状態を指します。

●働き方改革の観点から、会社には働き方の多様性への対応が必要であり、会社としては従業員の自律性を高め、会社への貢献意欲を向上させることが必要となるため、従業員エンゲージメント向上が必要となります。

●eNPSを使用して従業員エンゲージメントを測定することができ、調査結果を「批判者」「中立者」「推奨者」の3つに分類して、eNPS値を算出します。

●「仕事内容」「自己成長感」「組織運営」「チームワーク」「上司」「人事評価・育成」「処遇・労働条件」「経営方針」などの観点で調査することで、「批判」や「推奨」の要因を特定し、対策を講じてエンゲージメントの向上図ります。

なお、当社ES調査サービスは、eNPSを使用した従業員エンゲージメント調査にも対応しております。
また前述の要因を特定のみならず、取組みの優先順位付けをした改善着眼点(改善のヒント)もご提示しています。
ご興味ご関心ありましたら、こちらより是非ご確認ください。

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